■JON ANDERSON / Animation

■JON ANDERSON / Animation
(Esoteric recordings / ECLEC-2757 /2021.4)
 『ソング・オブ・セブン』、『オリアスのサンヒロー』に続くジョン・アンダーソンのソロ・アルバム・リマスター新装版第3弾は、1982年6月にポリドールからリリースされたサード・アルバム『アニメーション』。このアルパムは前作と同様にゲスト・ミュージシャンが豪華なことでも話題になった作品で、デヴィッド・サンシャス(ブルース・スプリングスティーン、ピータ・ゲイブリエル、スティング)、クレム・クレムソン(ベイカールー、ハンブル・パイ)、クリス・レインボー(アランパーソンズ・プロジェクト)、ジャック・ブルース(クリーム)、デイヴ・ローソン(ウェヴ、サムライ、グリーンスレイド)、サイモン・フィリップス(801、ジェフ・ベック、TOTO)などが参加している。ボーナス・トラックとして82年4月にシングル・カットされた「Surrender」のB面曲「Spider」と、11分に及ぶ未完のデモ「The Spell」が収録されている。実はこの曲が最もイエスらしさ(ジョンらしさ)が出ている曲で、『オリアスのサンヒロー』や『海洋地形学の物語』の要素を持ち合わせた楽曲となっている。アルバムを聴き終えて真っ先に、なぜこれを完成させなかったのかという疑問が浮かぶが、80年代には美しいメロディにドラマティックな構成──70年代的イエス・サウンドはリスナーには受けないと思ってしまったのだろう(きっとレコード会社かプロダクションのバカな奴らの圧力がかかったに違いない!!)。この曲に間違いなく同じ思いを抱いているファンは多いのではないかと思う。本作『アニメーション』はジョンのキャリアの中ではあまり目立った存在ではないが、随所に、翌83年に再結成したイエスが放ったベストセラー・アルバム『ロンリー・ハーツ』に繋がるメロディとサウンドが散りばめられていることを考えれば、プログレッシヴ・ロック史においては非常に重要な作品になるはずだ。本作を聴き逃していたイエス・ファンには、この機に再聴を願う。音源はオリジナルのポリドールのマスターテープからのリマスターで前2作同様、くっきりとした音に蘇っている。ブックレットにはジョン・アンダーソンの最新独占インタヴューが掲載されている。(Q.I.)