■CULPEPER’S ORCHARD / Mountain Music The Polydor Recordings 1971-1973
(Esoteric Recordings / ECLEC 22742 / 2020.1)
(Esoteric Recordings / ECLEC 22742 / 2020.1)
本作はデンマークのバンド、カルペパーズ・オーチャードがポリドール・レコードに残した3枚のアルバムに未収録曲やライヴ音源などを加えた2枚組リマスタリングCD。
イギリス出身のシィ・ニックリン(vo, g)は1963年からデンマークに住み、サンディ・デニー&ストローブスのコペンハーゲン録音のアルバム『All Our Own Work』に参加するなどしながら、68年にはデイ・オブ・フェニックスのメンバーとして活動をスタートさせる。しかしシィはニールズ・ヘンリクセン(g, p)、ミカエル・フリース(b, org, fl)、ロジャー・バーカー(ds, perc)とともにカルペパーズ・オーチャードを結成するためにデイ・オブ・フェニックスを脱退し、71年3月にアルバム『Culpeper’s Orchard』でデビューを飾った。一方、デイ・オブ・フェニクッスも71年にコロシアムのトニー・リーヴスをプロデューサーに迎え無事に第1作『All Our Own Work』を発表している。
カルペパーズは、CSN&Yやアメリカ西海岸のアーティストから影響を受けたサイケデリックかつフォーク・ロック的アプローチを見せるサウンドが受け、翌72年には第2弾アルバム『Second Sight』を、メンバー・チェンジ後の72年には、3枚目のアルバム『Going For A Song』をリリースした。77年にはシィを中心に新たなメンバーとともにカルペパーと改名し4枚目の『All Dress Up And Nowhere To Go』をソネット・レコードから発表するも、この作品を最後にグループは活動を停止した。
彼らはまた73年6月17日に行われた、北欧のウッドストックと言われるミュージック・フェス“RAGNAROCK 73” にも、サヴェージ・ローズ、アーント・マリー、シャフト、ポポル・ヴー、プリティ・シングス、マンゴ・ジェリーらとともに出演。彼らの演奏はこの時の模様を収めたライヴ・アルバム『Ragnarock 73』にも収録された。本作のディスク2に収められているライヴ・テイクはこの時の音源(2009年には音と映像を収めた2CD+DVDの3枚組ボックスが発売となっている)。
カルペパーズの音楽性は非常にユニークで、70年代初頭のベールに包まれたままの北欧のロック/フォーク・シーンの中にあって、ブルース/サイケデリックからフォーク・ロックまでを打ち出した彼らのサウンドは、当時を語る上で非常に貴重な存在であることがわかる。この作品のリリースを機に、未だ謎多き北欧のシーンに耳を傾けるのもいいかもしれない。なお、ここに収録された2曲のアルバム未収録曲は、デンマーク・ポリードルのレーベル・サンブラー『Danske Arbejde 2』(72年)から選曲されている。(Q.I.)
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