■JON ANDERSON / Olias Of Sunhillow
(Esoteric recordings / OECLEC-22478 /2021.3)
(Esoteric recordings / OECLEC-22478 /2021.3)
1974年11月に発表したアルバム『リレイヤー』とそのツアーを終えると、イエスは長い休息に入り、メンバーはそれぞれのソロ作に取りかかった。ヴォーカリストのジョン・アンダーソンも自身の作品のためにスタジオ入りして初のソロ作品を完成させた。それが『オリアスのサンヒロー』で、76年7月にリリースされている。本作はそのソロ第1作目のオリジナル・マスターテープをもとにデジタル・リマスターされた2枚組リイシュー盤。ディスク1は2021年のリマスター音源、ディスク2のDVDには5.1サラウンド・ミックスが収録されている。リリースは英エソテリックからで、2020年11月に発売されたジョンのセカンド・ソロ『ソング・オブ・セブン』に続くリマスター第2弾。
オリアスはサンヒローという土地に住む人物で、その他ランヤートとコクアクという人物も登場する。彼らはサンヒローに住む4つの部族を集めてムアグレート・ムーヴァーという船に乗り宇宙へ旅立つが、その後サンヒローは爆発してしまう。ムアグレート内の人々は不安で混乱するが、オリアスの歌によって人々の心は平静を取り戻す。3人は役目を終えて太陽に向かうように宇宙空間を浮遊していく。かいつまんで書くとこれが本作のストーリーで、ジョン・アンダーソンのオリジナルだ。イエスの『危機』『海洋地形学の物語』『リレイヤー』で見せた幻想的で雄大なコンセプトはそのままに、ストーリーだけでなく、演奏もそのほとんどをジョン一人が手がけるというマルチ・プレイヤーぶりを発揮している。
ジョンはこのアルバム発表の前年、キーボーディストとしてイエスへの参加を打診した縁でヴァンゲリス(元アフロディーテズ・チャイルドのキーボード)の『天国と地獄』(75年12月)へ参加し意気投合。80年にはジョン・アンド・ヴァンゲリスを結成し、『ショート・ストスーリーズ』(80年1月)を皮切りに4枚のアルバムを残している。本作のサウンドにはヴァンゲリスとの共通点がみられ、彼らが交流を深めた理由が理解できる一枚となっている。ボーナス・トラックが収録されていない分、すっきりと聴き終えることができるリイシューだ。(Q.I.)
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