■AL STEWART / Year Of The Cat

■AL STEWART / Year Of The Cat
(Esoteric Recordings / QECLEC 22725/2021.4)
 アル・スチュアートが1976年に発表した通算7作目のアルバム『イヤー・オブ・ザ・キャット』の45周年記念デラックス・エディションが英エソテリックからリリースされた。
 73年発売の前作『モダン・タイムス』から引き続き、アラン・パーソンズをプロデュースに迎え、アビー・ロード・スタジオで制作された本作は、タイトル曲や「オン・ザ・ボーダー」がシングル・カットされ、前者は全米8位、後者も23位に入るヒットとなり、アルバム自体も全米5位・全英38位となるスチュアート自身にとって最大のヒット作となった。またジェネシスの『ア・トリック・オブ・ザ・テイル』などで知られるコリン・エルジーによるイラストが印象的なアルバム・カヴァーは、エルジーも在籍したヒプノシスによるデザイン。内容としてもジャケットとしてもアル・スチュアートを代表する名盤としてぜひ手に入れたい一枚だ。
 45周年記念盤となる本作では、プロデューサーのアラン・パーソンズ自身がオリジナル・マスターテープからリマスターを行っている。『2CD リマスター&エクスパンデッド・エディション』は、オリジナル・アルバムのリマスター盤に75年9月にアビー・ロード・スタジオで収録された「Belsize Blues」のニュー・ミックスをボーナス・トラックとして追加したディスクと、76年10月に米シアトルのパラマウント・シアターで行われたコンサートを収めた未発表ライヴ音源のディスクの2枚組。さらにアル・スチュアートのインタヴューを含むブックレットとプロモーション用ポスターのレプリカも収録されている。
 イギリスからアメリカに活動拠点を移して大成功を収めたアルの代表曲は、悲しげなメロディを奏でる長いイントロで始まる。AORテイストを漂わせたブリティッシュ・ポップは、同年にヒットした「ホテルカリフォルニア」とともにこの曲を76年のベスト・トラックとするリスナーも多い(しかし“猫年の女”っていうのがまた意味深だ)。同時に発売された限定ボックス・セットは、さらにライヴCDと5.1サラウンドのDVDがついた4枚組となっている。(S.I.)