■PETER GABRIEL / Plays Live

■PETER GABRIEL / Plays Live(2CD / REALWORLD / PDGLCD1 / 2021.4)
 ピーター・ゲイブリエルが1983年6月6日にリリースした初のライヴ・アルバム『プレイズ・ライヴ』がジュエル・ケースでの2枚組CDでリアル・ワールド・レコーズから発売された。本作のオリジナルは16曲入りの2枚組のアナログ盤でリリースされたものだったが、85年の初CD化にあたっては、4曲を削除し『プレイズ・ライヴ・ハイライト』として1枚もののCDとして発売された。その約2年後にはオリジナルの全16曲を収録した2枚組CDで発売されたものの、本国イギリスでは2002年のリマスター版の発売の際にも『ハイライト』での仕様だったため、30年以上にもわたって全曲が収録されたCDが手に入らない状態が続いていた。今回ようやくイギリスで約34年ぶりにリマスター音源(2002年リマスター)で2枚組フルセットでの発売に至ったというわけだ。
 アルバムには、彼が82年に行ったアメリカ・ツアーの中から、イリノイ州やカンサス州での4つの公演からの音源が収録されている。とはいえ、ライナーノーツにはしっかりと本作用に追加レコーディングが行われ、ライヴのエッセンスを残しながらもすべてがライヴ・レコーディングではない、ということが明記されているのが興味深。収録曲は、「ソルスベリーヒル」「D.I.Y.」「ビコ」「ショック・ザ・モンキー」など、それまでピーターが発表した4枚のアルバムからバランスよく選曲され、ベスト・アルバム的な趣もある内容となっている。トニー・レヴィン(b)、デヴィッド・ローズ(g)、ジェリー・マロッタ(ds)、ラリー・ファスト(key)とその後も長くピーターを支えるアーティストによる演奏も安定していて、40年近く経った今でも色褪せずに聴くことができる。なぜ、今になってイギリス盤が発売されたのか(!?)、その理由は今のところ不明。(S.I.)