■Global Village Trucking Company / Smiling Revolution


■Global Village Trucking Company / Smiling Revolution
(2CD / Esoteric Recordings ECLEC 22754 / 2021.3)
 1970年代初頭から半ばにかけて活動していた英グループ、グローバル・ヴィレッジ・トラッキング・カンパニーの2枚組CD。
 グローバル・ヴィレッジ・トラッキング・カンパニーは、1972年に結成されたグループで、主要メンバーは、ジョン・オーウェン(g)、ジェームズ・ラッセルズ(key)、サイモン・スチュアート(ds)、マイケル・メドーラ(g)、ジョン・マッケンジー(b)の5人。1972年3月から75年8月まで390回ものライヴを行っているが、その間、メンバー、ローディー、家族たちはノーフォークのカントリーサイドにあるビーハイヴ・コテージで共同生活を送っていた。この共同生活に興味を持ったBBCは、ドキュメタリー番組「By Way Of A Change」を制作している。彼らは73年10月に、ロンドンのカムデン・タウンにあるディングウォール・ダンス・ホールで開催された“Greasy Truckers”と題されたライヴに、キャメルやヘンリー・カウ、ゴングとともに参加。その模様を収録した2枚組ライヴ・アルバム『Greasy Truckers Live at Dingwall’s Dance Hall』で初めてレコーディング作品に登場することになった。このライヴを基にしたセルフ・タイトルのアルバムをロックフィールド・スタジオでレコーディングし、のちにスティッフ・レコードを設立するデイヴ・ロビンソンが、当時設立予定だったレーベルからのリリースが決まっていたが、そのレーベル設立自体が頓挫してしまう。グループも75年8月に解散するが、アルバムはその後、ヴァージンの廉価版レーベル、キャロライン(Caroline C1516)から発売されている。2008年5月にBBCで放映された番組「What Happened Next」で、前出の彼らの番組「By Way Of a Change」が更新され、その中で30年ぶりに彼らはライヴを行った。
 本作『Smiling Revolution』は、彼らの唯一のアルバム『グローバル・ヴィレッジ・トラッキング・カンパニー』と、そのきっかけとなったディングウォールでのライヴ音源、ジョン・ピール・セッションの音源、その他の未発表曲をバンド自身がコンパイルした2枚組CDだ。活動していた当時、彼らは“グレイトフル・デッドへのイギリスからの回答”と評されていたというが、アルバムを聴くとザ・バンドを目指していたとも受け取れる。70年代のイギリスが混沌としていた時代の雰囲気が味わえる一作だ。
 ちなみにキーボードのジェームズ・ラッセルズは、現エリザベス女王の又従兄弟で王位継承権を持つ。(S.I.)